
Green Transformation (GX)
社会全体を巻き込み、GX推進加速へ
GX推進委員長メッセージ

菅 栄治
専務執行役員
GX推進委員長
社会全体を巻き込み、GX推進加速へ
GX推進委員会を立ち上げてから2年が経過しました。GXに資する事業構築を目的として設置されましたが、急速に変化する社会、環境、価値観などに追従することに精一杯で、本来の目的を達成するのに時間を費やしている現状です。一方で海外、国内において環境関連の投資を徐々に増やしており、今後の展開が楽しみな状況になっています。
当委員会は経営会議直下の組織として、GXに資する事業の企画・立案、推進、管理・監督など、四半期報告をベースにPDCAサイクルを回しながら活動しています。当委員会の下部組織であり約90人の兼松グループの有志社員で構成される「GXアクセラレーター」を中心に、GXに寄与する商売のタネは多く生まれてきており、今後は事業化に向けた取組みが加速されると期待しています。また、私が部門長を務めている鉄鋼・素材・プラント部門では、再生可能エネルギーによるクレジット創出や、環境負荷の少ない木材を活用した事業など、元々GXに資する事業を多く取り組んでいました。2024年3月期にはGX関連事業を多く手掛ける兼松サステック株式会社を完全子会社化したことで、よりグループ一丸となって連携できる体制となりました。
中期経営計画「integration 1.0」では、基本方針の一つにグループ一体経営の推進を掲げており、部門や企業の垣根を越えて事業開発をリードする「グループ成長戦略推進室」をコア組織として、兼松グループの資産活用を推進していく方針です。本組織の中にもGX担当を設け、GX推進委員会と連携することで、新たな価値創出に向けて組織力を強化しています。また、4つの注力分野として、「再生可能エネルギー」「農業・食品GX」「素材GX」「静脈ビジネス」を掲げました。これらはどれも実現可能性が高いもので、当計画期間の3年間で着実に果実をとっていきたいと考えています。クレジット取引などの数値上の削減という安易な方法だけでなく、兼松グループの人的資本、知的資本、社会関係資本などあらゆる資産を活用しながら、注力分野を中心に事業構築、展開を図り、世の中に還元していきます。
GX推進委員会のビジョンは、兼松グループの総力を結集し、業界間・企業間の連携をリードすることで、兼松が「地球と共存できるサプライチェーンへの変革」のリーディングカンパニーとなることです。兼松グループ一丸となってお取引先をはじめ社会全体を巻き込み、末永い成長を実現して参ります。
GX推進体制

具体的な取組み
農業GX

兼松は、食のサプライチェーンに強みを持ち、農家、肥料メーカー、飼料メーカー、食肉パッカー、食品メーカー、リテール、外食企業といった多くの企業と取引しており、この強みを活かしたGXの付加価値化を進めています。
生産者におけるGX推進の取組みとして、農作関連ではGreen Carbon株式会社と連携した稲作由来のメタンガス削減によるカーボンクレジット組成や、そこで生産された環境配慮米の販売を行っています。また、株式会社TOWINGと連携した高機能バイオ炭やEF Polymer株式会社と連携した生分解性の保水ポリマーなどの資材を活用することにより、土壌への炭素貯留・化学肥料の削減・生産効率の改善など、気候変動対策と持続的な食料生産体系の構築に資する取組みをサプライヤーやお客さまと連携して推進しています。畜産関連においても、畜産農家におけるカーボンクレジット組成や低炭素肉の販売促進に取り組んでいます。
製造段階でのGXとしては、野菜の端材や規格外品を野菜パウダーとして活用する仕組みづくりや、そのほか食品廃棄物のアップサイクルの取組みを進めています。
そして、サステナブルな製法で製造された食材の活用を推進しており、デンマークのDanish Crown社と連携したサステナブルな豚肉や、ブラジルのDaterra社と連携したサステナブルなコーヒー、DAIZ株式会社と連携した植物肉などの、日本市場での販売を行っています。
Spiber(株)との協業~構造タンパク質素材「Brewed ProteinTM」の用途開発~

2024年より、構造タンパク質素材「Brewed Protein™」を開発するバイオベンチャーであるSpiber株式会社と、同素材の用途開発を目指した協業を開始しました。同社のBrewed Protein™は、植物由来のバイオマスを原材料にして微生物の発酵プロセスにより生産され、化石燃料由来の合成繊維、樹脂、合成皮革、接着剤、機能性フィルム等からの代替や、代替肉などの食品分野、生体適合素材などの医療分野での活用も期待されている革新的な新素材です。
同素材は環境分解性を有するため、最終製品の設計によっては、化石燃料由来の製品が発生原因であるマイクロプラスチック排出問題の解決への貢献が見込めます。また、従来の植物由来の素材には無い特性を付加することも可能で、次世代の素材として期待されています。
バイオマス燃料

兼松グループでは、再生可能エネルギー事業の一つであるバイオマス発電事業向けにバイオマス燃料供給事業を2017年より開始し、現在も拡大しています。バイオマス燃料の取扱量シェアは、兼松のエネルギー部での総取扱量の約25%まで伸びています。2030年にはシェア40%への拡大を目指し、本事業を通じて環境社会に貢献していきます。
兼松では自社のGXを推進する他に、自社で取り扱う、再生可能エネルギー、省エネ設備、バイオ素材、低炭素食材、再生事業などのソリューションや、パートナーと連携し、お客様の課題に対して、最適なGXソリューションをご提案しております。
お客様の課題の整理から、戦略の立案、実行、見える化まで取り組むことで、サプライチェーンの付加価値となるような、効果的で実効性のあるGXの推進を伴走します。
事業の特色、取扱商材やコンサルティングの流れについて記載しておりますので、是非こちらをご覧ください。