
Green Transformation (GX)
人と人との信頼関係がビジネスを創る
GX推進委員長メッセージ

山科 裕司
上席執行役員
GX推進委員長
地球と共存できるサプライチェーンへの変革
当社は、2024年4月から開始した中期経営計画「integration 1.0」において、「効率的かつ持続可能なサプライチェーンの変革をリードするソリューションプロバイダー」を目指し、主要施策の一環としてGXを推進しています。GXに資する事業の構築を目的にGX推進委員会を立ち上げてから3年が経過する中で、GX関連事業は着実に前進しています。
特に注力している「農業・食品GX」分野では、当社の強みである食のサプライチェーンを活かし、農家、肥料メーカー、飼料メーカー、食肉パッカー、食品メーカー、リテール、外食企業の皆さまと連携し、様々なGXプロジェクトを展開しています。例えば、稲作由来のメタンガスの削減や、これに基づくカーボンクレジットの組成、高機能バイオ炭や生分解性ポリマー資材の活用による土壌の炭素貯留・生産効率改善など、気候変動対策と持続的な食料生産体系の構築に取り組んでいます。これらの取組みは、当委員会の事務局であるGXビジネス推進課および下部組織であり兼松グループの有志社員で構成されるGXアクセラレーターが中心となって、社外連携先やお取引先と連携しながら推進しています。
加えて、「再生可能エネルギー」「素材GX」、「静脈ビジネス」など、その他の注力分野においても、投資や事業提携の案件数が着実に増えており、今後の更なる展開を期待しています。
世界では様々な環境変化が見られ、一部では脱炭素やGXの取組みに対する揺り戻しも起きていますが、当社はこの状況を新たな価値やビジネスモデルを創出する好機と捉えています。GXは単なる脱炭素・気候変動対策にとどまらず、総合商社として当社グループの総力を結集し、業界間・企業間の連携をリードすることで、「地球と共存できるサプライチェーンへの変革」のリーディングカンパニーを目指します。これからも、お取引先をはじめ社会全体を巻き込みながら、末永い成長を実現して参ります。
GX推進体制

具体的な取組み
グリーン&アグリテックベンチャー企業(株)TOWINGへの出資 ~高機能バイオ炭「宙炭」で社会課題を解決~

兼松は、2025年3月に株式会社TOWINGが実施する第三者割当増資を引き受け、同社の株式を取得しました。
生産者におけるGX推進の取組みとして、農作関連ではGreen Carbon株式会社と連携した稲作由来のメタンガス削減によるカーボンクレジット組成や、そこで生産された環境配慮米の販売を行っています。また、株式会社TOWINGと連携した高機能バイオ炭やEF Polymer株式会社と連携した生分解性の保水ポリマーなどの資材を活用することにより、土壌への炭素貯留・化学肥料の削減・生産効率の改善など、気候変動対策と持続的な食料生産体系の構築に資する取組みをサプライヤーやお客さまと連携して推進しています。畜産関連においても、畜産農家におけるカーボンクレジット組成や低炭素肉の販売促進に取り組んでいます。
製造段階でのGXとしては、野菜の端材や規格外品を野菜パウダーとして活用する仕組みづくりや、そのほか食品廃棄物のアップサイクルの取組みを進めています。
そして、サステナブルな製法で製造された食材の活用を推進しており、デンマークのDanish Crown社と連携したサステナブルな豚肉や、ブラジルのDaterra社と連携したサステナブルなコーヒー、DAIZ株式会社と連携した植物肉などの、日本市場での販売を行っています。
内航船舶向けバイオディーゼル燃料で低炭素化を推進

兼松ペトロ株式会社では、名古屋港において同社専用の燃料配給船を使用し、A重油に5%のバイオディーゼル燃料を混合した「B5A重油」の混合燃焼試験を2022年11月より実施しています。バイオ燃料の混合比率を段階的に高め、最大24%まで混合燃焼試験を行いました。
また、2025年3月には、東京港にてアスファルト運搬船に同じくB5A重油を「Ship to Ship方式」(燃料配給船からアスファルト運搬船へ給油ホースを繋いで給油する方式)で給油しました。
バイオディーゼル燃料の使用は、大きな設備投資をせずにCO²を削減できる有効な手段です。兼松グループは船舶向けのみならず、工場や建機、バスなどへ供給網を広げることで、燃料の低炭素化への中長期的な貢献を目指します。
GridBeyond社との連携 ~「デマンドレスポンス」で再生可能エネルギーへの転換を推進~
アイルランドのエネルギーITソリューションプロバイダーの日本法人GridBeyond合同会社と兼松は、電力の需給バランスを調整し、再生可能エネルギーへの転換を促す取組み「デマンドレスポンス」を日本で推進するために、業務提携を開始しました。
GridBeyond社は、独自のAIやロボットなどの最先端技術を活用し、デマンドレスポンスを通じた効率的な電力取引をアグリゲーションする企業で、既に10年以上の電力負荷制御実績があります。今後、兼松グループやお取引先に対しデマンドレスポンスの推進を促し、持続可能な社会の実現を目指します。
兼松では自社のGXを推進する他に、自社で取り扱う、再生可能エネルギー、省エネ設備、バイオ素材、低炭素食材、再生事業などのソリューションや、パートナーと連携し、お客様の課題に対して、最適なGXソリューションをご提案しております。
お客様の課題の整理から、戦略の立案、実行、見える化まで取り組むことで、サプライチェーンの付加価値となるような、効果的で実効性のあるGXの推進を伴走します。
事業の特色、取扱商材やコンサルティングの流れについて記載しておりますので、是非こちらをご覧ください。