担当役員メッセージ

サステナビリティ推進委員会委員長メッセージ
~サステナビリティの本質は競争力の源泉~

近藤 一夫
取締役 執行役員

変化するサステナビリティ

 最近、「サステナビリティとは何か」と思いを巡らすことが増えました。2026年2月末の中東情勢の緊張の高ま りやホルムズ海峡封鎖も思案のきっかけのひとつです。ひとたび地政学上の緊張が高まると原油価格の乱高下が始まり、物流にも影響を及ぼし、在庫水準の低下やリードタイムの長期化によってサプライチェーン全体で安定供給 を求める声が高まります。長年かけて最適化された供給網やジャストインタイム方式も見直しの対象となり、冗長性や分散といった要素が再評価される動きも見られます。

 サステナビリティという言葉も従来の環境保全に留まらず、企業や社会の持続可能性を広く捉える概念へと拡 張し、個社の気候変動対応や資源循環への取組みに加え、サプライチェーン全体の人権配慮や労働環境の整備、地域社会との共生、公正なガバナンスの確立までを包含するようになっています。さらに災害や地政学リスク、サプ ライチェーンの分断などに備えた事業の継続性(レジリエンス)の確保も求められています。今やサステナビリティとは、環境、社会、経済そして事業継続性を統合し、長期的な価値創出を実現する経営の中核概念と言えるでしょう。

 企業の事業活動においても得意種目で得点を稼ぐだけでは勝ち残れず、むしろ苦手分野での失点が致命傷にな りかねない時代です。調達先の選定時には品質、供給量やコストに加え、地政学リスクや人権リスクを織り込む必要があり、投資判断においても短期的な収益性や投資回 収だけでなく、中長期の耐久力や社会的受容性が求められます。未来に愛される商いかが問われているのです。かつて「できれば考えたい」程度だった要素が、今や「考え なければ退場」という前提条件へと変わりました。ただ、この変化は企業が自らの存在意義を再定義する好機とも言えます。どのリスクに向き合い、どの価値を優先するの か。その選択の積み重ねが他社との違いとなって企業の輪郭をより鮮明にし、サステナビリティは将来に向けた意思決定の質を高める思考のフレームとなるのです。

当社事業の本質的な強み

 当社らしさを語るうえで外せないことは、資源・純投資 型とは一線を画し、あくまでトレーディングに立脚してい る点です。資本を投じてリターンを得るモデルに軸足を置 く企業が増えるなか、当社は成長投資を行いつつも、モノ と情報の流れの中に身を置き続けることで現場の温度感 を失わない経営を選んでいます。当社におけるトレーディ ングとは単なる売買の仲介ではなく、変化に機敏に反応 し、需給の歪みを捉え、様々なソリューションを提供し、時 にリスクを引き受け、物流や加工機能も組み合わせて価値 を編み直す行為です。だからこそサプライチェーンのどこ に脆弱性や持続可能性を損なう要因が潜んでいるかを、 机上ではなく実務の中で実感、把握できます。紛争などに よる物流の変化や特定地域の規制変更に伴う変化の予兆 はまず取引の現場に現れます。当社はその最前線に立ち 続けているのです。この流れの中にいるという特性は新規 事業の創出にも独自の強みをもたらします。将来性を見 込む領域へ資本を配分して成長機会を得る資源・純投資 型に対し、当社は既存取引の延長線上や周辺から事業を 立ち上げ、関係性のある顧客やサプライヤー、物流網を基 盤に磨き上げながら拡張していくアプローチです。

 サステナビリティの観点では、この違いはより鮮明です。投資によるポートフォリオの組換えは比較的短期間で形を整えられる一方、当社の手法はサプライチェーンの現場に入り込み、関係者とともに改善を積み重ねるプロセスを伴います。時間は要しますが、実態に根ざした持続可能性が構築されやすいと考えています。言わば外から作るサステナビリティではなく、内側からにじみ出るサステナビリティです。

 さらに、このモデルは環境変化への適応力にも繋がります。当社は取引を通じて常に市場と接しているため、変化の兆しを早期に捉え、事業の方向性を柔軟に調整できます。大規模投資に伴う固定化された前提に縛られにくい点は、不確実性の高い時代において大きな意味を持ちます。流れを読み、流れをつくり、その中から次の事業を立ち上げていく。当社のサステナビリティは、このトレーディングに根差した連続的な創造にこそ本質的な強みがあると思います。

サステナビリティ推進体制

 全ての営業部門から経営層(執行役員)および統括室長が、委員および専門委員としてサステナビリティ推進委員会に参画していることが当社の特長です。これら営業部門トップの関わりにより、事業活動に即したサステナビリティ方針を定め、その考え方をトップダウンで浸透させることで事業活動へ反映できます。また、当社グループの経営戦略の立案、経営資源の配分を主管する企画担当役員(取締役執行役員)が委員長を務めることで経営戦略との連動を図り、グループ一丸となって活動を推進するとともに、重要事項を取締役会へ直接共有できる体制を構築しています。

気候変動に関する指標と目標

対象期 対象年度 目標 排出量に対する削減貢献量の割合(b/a) 削減貢献超過分
(a)CO2排出量 (b)CO2削減貢献量
2026年3月期
2025年
30,000以下
800,000
26.7倍
(△)770,000
2031年3月期
2030年
30,000以下
1,000,000
33.3倍
(△)970,000
2051年3月期
2050年
30,000以下
1,500,000
50.0倍
(△)1,470,000

実績

対象期 対象会社数 CO2排出量 CO2削減貢献量
Scope1 Scope2 Scope1,2計
2026年3月期 103 1,303,096
2025年3月期 106 8,398 18,530 26,928 1,151,264
2024年3月期 100 8,781 17,788 26,569
2023年3月期 97 9,507 18,814 28,321
2022年3月期 95 9,772 19,725 29,497

サステナビリティ推進委員会における主な議題(2026年3月期)

  • ・サステナビリティに関する取組みの情報開示(人権、生物多様性、気候変動(CDP)など)
  • ・2025年3月期GHG排出量報告と増減分析
  • ・気候変動に関する方針および基本的な考え方の改定、指標と目標の再設定
  • ・GHG排出削減貢献に関する取組みと貢献量の進捗確認
  • ・欧州の企業サステナビリティ報告指令(CSRD)CSRD)を意識したVSMEフレーム枠による開示
  • ・サプライチェーンマネジメント強化に向けた取組み
  • ・当社グループサステナブル・サプライチェーンハンドブックの策定(日本語版、英訳、中国語訳)

サステナビリティ推進体制

サステナビリティ推進体制 2025