サステナビリティ推進委員会委員長メッセージ
サステナビリティ推進委員長
兼松グループ人権方針を新たに策定
明治時代、貧窮の中から苦闘努力して成功した実業家は数多いますが、財閥をつくり、自らが資本形成をしていくことではなく、事業を通じて社会に貢献する、さらには事業周辺分野でも社会発展の基盤づくりに足跡を残した実業者は、それほど多くはいないと言われています。創業者の兼松房治郎は、そのような数少ない実業家の一人でした。
ウィキペディアで「日本版ESOP」と検索すると、日本における初期のESOP事例として「兼松房治郎商店の従業員持株制度」が記載されています。房治郎は、兼松商店は公のものであり兼松家のものではない、という持論を生前持っており、死後、兼松商店の株は世襲されずに店員に分け与えられ、事業を通じた社会貢献の志は社員へと受け継がれました。
創業主意「わが国の福利を増進するの分子を播種栽培す」は、一般公共の利益、社会貢献、国際社会への寄与、人類への貢献に通じる考え方であり、この理念に基づき2023年2月、「兼松グループ人権方針 」を策定し、すべてのステークホルダーに対する人権尊重の取組みを明確にしました。また3月には、企業に対し、人権・労働・環境・腐敗防止に関する10原則の遵守と実践を要請する「国連グローバル・コンパクト」にも賛同いたしました。
当社は人権尊重の責任を果たすことで、創業者の志を受け継ぎ、事業の持続性と強靭性を確保して参ります。
2050年目標とESGスコア改善
当社グループはTCFDの「指標と目標」で、2050年のCO2排出量(Scope1と2の合計)で▲100万トンのカーボンネガティブを目指すことを掲げております。2022年の日本国総排出量は10億6,600万トン※、その0.1%相当を当社が削減して社会に貢献するという目標です。国連グローバル・コンパクトの原則8、「企業は、環境に関するより大きな責任を率先して引き受けるべきである」にも呼応しております。
それらの取組みが評価され、当社のESGスコアも年々上昇傾向にあります(下表をご参照)。
また、2023年からFTSE Blossom Japan Sector Relative Indexの構成銘柄にも初めて選定されました。同指標は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、2022年3月からパッシブ運用におけるベンチマークとして採用している国内株式のESG指数です。FTSE Russell社のESG(環境・社会・ガバナンス)評価が優れている日本企業が対象であり、さらに売上高に対する温室効果ガス排出量も選定基準となります。GPIFが採用しているESG指数では、ほかにも以下3本の構成銘柄に選定されています。
創業主意「わが国の福利を増進するの分子を播種栽培す」は、現代社会においては『世界中に暮らす人々を豊かで幸せにするために行動する意思』です。その意思を実現するために、ビジネスに直接的に関与する営業担当役員を委員とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し、活発な議論を行う体制を構築しています。
イノベーションにより社会を変えるビジネスモデルを創出し、先人を見習い一つでも多くの社会課題を解決することで現代における我々の存在意義を示し、社会と当社グループの持続可能な成長を目指していきます。
- ・MSCI日本株女性活躍指数(WIN)
- ・S&P/JPX カーボン・エフィシエント指数
- ・Morningstar 日本株式 ジェンダー・ダイバーシティ・ティルト指数
現在の当社グループESGスコアはまだまだ上昇の余地があり、更なる改善が実現できると考えています。引き続き経営理念に沿ったESG活動を進めていくことで、「人権の世紀」における持続的企業を目指して取り組んで参ります。
*出典:世界の二酸化炭素(CO2)排出量 国別ランキング・推移(BP) - Global Note