兼松は今年で創業137年を迎えます。137年という歳月は、ただ長いだけでは意味を持ちません。その間に何を見つけ、何を選び、どんな未来を切り拓いてきたのか。
兼松グループは、まさに「選択と挑戦」の歴史を歩んできた企業です。
1889年、豪州との貿易を切り拓いた一人の開拓者精神から始まった兼松は、時代ごとに姿を変える社会のニーズに応えながら成長してきました。創業当時から受け継がれてきたのは、未知の領域に踏み出す勇気と、価値を生み出すための創意工夫。この2つは、現代のビジネス環境がどれほど複雑になっても、私たちの根底に流れ続けています。
現在、兼松グループは中期経営計画の最終年度にあり、目標に向かって順調に成長しています。しかし、私たちが見据えているのは数字の達成だけではありません。社員一人ひとりが力を発揮し、組織全体が次のステージへ進むための“質的な進化”こそが、今の兼松が本気で取り組んでいるテーマです。
その象徴が、2025年8月に策定した Mission、Vision、Values(MVV)です。明治時代に生まれた創業主意は今も当社の大切な価値観ですが、社会の価値観は大きく変わりました。多様性が尊重され、働き方も人生観も人によって異なる時代。だからこそ、社員全員が同じ方向を向ける“現代の言葉”が必要でした。幅広い社員の声を集め、兼松の強みと未来への意志を改めて言語化したのが、この新しい指針です。
MVVの策定は、組織の判断基準を明確にしただけでなく、社員一人ひとりの意識にも大きな変化をもたらしました。Missionに照らして自らの役割を捉え直し、Visionの実現に向けて何をすべきかを主体的に考える姿勢が広がっています。Valuesが示す行動指針は、日々の業務の中で「どう動くべきか」を判断する軸となり、個々の行動が自然と同じ方向へと収れんするようになりました。結果として、グループ全体が価値創造に向け一体感を持って動く基盤が整いつつあります。
また、MVVは新規事業や投資判断の場面でも効果を発揮しています。「私たちのMissionに沿うか」「Visionの実現に寄与するか」という視点が共通言語となり、意思決定のスピードと質が向上しました。社員が自ら考え、行動し、挑戦する風土が強まりつつあることは、兼松の次の成長を支える重要な変化です。
そして私たちが目指す未来は明確です。「効率的かつ持続可能なサプライチェーンの変革をリードするソリューションプロバイダー」。不確実性が増していく中、社会の変化を成長の機会と捉え、兼松はその変革を支える存在として、社会に新しい価値を提供し続けます。
137年の歴史を持つ企業は、時に“古い会社”と思われるかもしれません。しかし兼松は、歴史を背負いながらも、常に未来に向かって動き続ける企業です。誠実に、果敢に。その姿勢は創業時から変わらず、そしてこれからも変わりません。
2026年5月
代表取締役社長