兼松のグループ会社である兼松フューチャーテックソリューションズ株式会社(以下「KFT」)は、タブレット端末とクラウドサーバーを利用して、様々な業界のお客さまの業務をDXにより効率化するサービスを提供しています。
今回は、お客さまである養鶏場の飼育管理システムをDX化した導入事例についてご紹介します。
導入の背景と対応

鶏舎内で行う日常業務に関する記録情報(入雛、鶏種、食下量、飲水量、鶏舎の環境情報、ワクチネーション管理)は、現場で一旦紙媒体に記入し、作業後にこれをPCで集計して管理していましたが、紙媒体からPCへの転記に手間と時間がかかっていました。また、鶏出荷の際には、顧客用にデータを纏めて再加工するなど、ここでも手間暇がかかり、また作業が属人化していました。
これらの課題を解決するために、タブレットとクラウドサーバーを活用して、現場から必要項目をデータとして直接記録・集計できるシステムを開発・構築しました。
成果と今後の展望

鶏舎内で行う、体重測定やワクチネーションなどの日常業務のデータを、現場からタブレットを通じて直接クラウドサーバーに入力するアプリケーションを開発、実際に運用していただいた結果、時間外労働が最大50%削減されました。 また、情報を「見える化」することで、誰でもすぐに必要な情報を取り出すことが可能となり、出荷毎に顧客に提出する資料も簡単に作成できるようになりました。
必要な情報がクラウド化されることで、営業担当も顧客訪問時にクラウド情報をもとに、提案や質疑に対してすばやく対応できるようになりました。また、 生産情報のデータを集計することで、農場長や経営層の生産状況分析が可能になり、鶏種毎の育成率の分析、農場毎の成績分析に役立てています。
また、追加開発としてBluetooth対応体重計を導入。体重測定後、データが無線でタブレットに取込めるようになったことで、さらに作業時間の短縮ができたとの評価をいただきました。
今後は、IoT化されたセンサー、例えば、温度、湿度、アンモニア濃度、CO2など、鶏の育成に影響を与える環境データの取得を自動で行い、作業の削減を図りつつ、経営効率向上に貢献したいと考えております。
担当者コメント
本システムの導入により、ノートに手書きする代わりに、体重計測などのデータがタブレット端末から直接クラウドサーバーに記録されるので、夕方事務所に戻ってノートからパソコンに転記する作業が不要になり、本来の鶏のお世話に時間を割くことが可能になります。また、現場のデータがリアルタイムでクラウドサーバーに蓄積されていくので、経営が状況分析に活用できます。
養鶏業界は、まだまだ経験と勘に頼る属人的な作業が残っている面がありますが、当社のシステムを導入していただくことで、働く方々の作業の効率化とワークライフバランスの実現に貢献し、経営効率化に寄与できるなど利点は多いので、今後もお客さまのためにDX化のお手助けを推進していきます。