兼松のグループ会社である兼松ペトロ株式会社(以下「兼松ペトロ」)では、お客さまの工場や事業所に小型タンクを設置し、工業用バルクローリーで複数拠点を巡回してLPガスの供給・販売を行っています(バルク配送システム)。配送日時や納入量、タンク在庫状況などの情報はタブレット端末を利用することでリアルタイムにクラウドサーバーへ蓄積され、一元管理したデータを基に効率化を図り事業展開をしています。


バルク配送システムのイメージ図

配送管理システム「X-DAT」を独自開発し、活用しています

ガス業界は紙媒体中心の商習慣であり、情報の管理も伝達手段もアナログという実態がありました。そこで兼松ペトロは、バルク配送における社内外のニーズ、問題点を踏まえ、同じく兼松のグループ会社である兼松フューチャーテックソリューションズ株式会社と共同で配送管理システム「X-DAT」を独自開発しました(2021年9月より運用開始)。
このシステムの導入により兼松ペトロ、運送会社、お客さまが各々クラウド上で同じデータを共有でき、事務処理作業の画一化、さらには正確性とスピードがアップし、大幅に作業時間が軽減されました。また、デジタル化にしたことで各種納入データを大量に管理し、配送サイクルの解析が可能となり、安定且つ効率的な供給体制が構築されました。もちろんペーパーレスにも対応し、環境的側面にも配慮しています。

兼松ペトロの強み

兼松ペトロは工業用LPガス*のバルク配送事業を得意とし、取扱量は国内トップクラスです。工業用バルク配送は、予め決まった数量の注文ではなく“減った分だけ”納入する特徴があります。24時間365日稼働する工場もあれば、季節によって消費量が増減する工場などお客さまによって様々ですが、X-DATにより蓄積されたデータを活用することで、業種問わず無駄なく効果的な配送サイクルを作り上げることができます。また、運送会社やお客さまにとっても現場での作業時間の短縮や事務作業の簡素化に繋がりました。X-DATを導入したことで、高付加価値のサービスを提供することが可能となり、競争力が強化されました。

*工業用LPガスとは
金属及び非鉄金属、食品、樹脂、塗装など様々な業種で加熱や乾燥等に使用され、国を支える基幹産業の燃料として多岐にわたり供給されています。

担当者コメント

X-DAT導入前は、納品書の形式が各社バラバラで、さらに手書きされたものがFAXで送られてくるため、これらをすべて解読、整理、台帳への転記作業が大変でした。また、実際の配送業務も属人化したものでした。これらの問題を解決することが開発の出発点ですが、当時はコロナ禍における職場環境の変化に加え、運送会社の労働時間削減(物流2024年問題)への対応も必要でした。運送会社乗務員は“デジタルアレルギー”を持つ方も多くいらっしゃいますが、現場の皆さんの気持ちに寄り添い、新しいことを始める方々への不安に配慮し、利用者の要望を十分に取り入れたうえで兼松ペトロ・運送会社・お客さまが「便利になった!」と思えるものを目指して開発を行いました。今後も現場の声を大切にし、現在そして未来に必要とされる会社であり続けるべく、更に事業拡大していきたいと考えています。