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2020年9月24日

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
兼松株式会社

NEDOと兼松(株)は米カリフォルニア州で2015年から電気自動車(EV)の行動範囲拡大に関する実証事業に取り組んでおり、このたび、EV専用のスマートフォン向けナビゲーションアプリ「EV Co-Driver」の本格提供を開始しました。

同アプリでは、目的地とバッテリー残量を入力するだけで、運転ルート・時間だけでなく充電ステーションでの待ち時間・充電時間も踏まえた最短ルートを瞬時に表示します。また、出発後も経路変更やステーションの混雑状況に応じて電欠を避けた最短ルートをリアルタイムで再検索し、ターンバイターンでナビゲーションする機能も備えており、これらの機能により、EVドライバーの電欠に対する心理的不安を軽減します。このようなEVドライバーに特化した包括的な機能を備えるナビゲーションアプリは世界初であり、これによりEVの行動範囲拡大やさらなるEV普及の促進につなげていきます。

 

図.「EV Co-Driver」の運用イメージ

(左)充電ステーションネットワークとのAPI※1連携により、各充電器の状態をリアルタイムに把握。

(中)EVの出発時バッテリー残量、稼働している充電ステーションの待ち時間、充電ステーション到着時のバッテリー残量推測、目的地到着時における走行に必要なバッテリー残量、充電ステーションでの充電時間、その経路のドライブ時間を考慮して、ドライブ開始時のみならずリルート時においても最も短時間で到着可能なルートを瞬時に検索。

(右)ターンバイターンナビゲーション機能※2による運転をサポート。



1.概要

電気自動車(EV)が世界的に普及する中、米国は早くからEVに注目し、さまざまな取り組みを実施しています。特にカリフォルニア州は、2030年までに500万台のZEV(Zero Emission Vehicle)普及を目標に掲げ、州内で一定数以上の自動車を販売するメーカーに対して、一定比率のEVやプラグインハイブリッド車などの販売を義務付けている(ZEV規制)ほか、EV所有者は許可を受ければ優先レーンを通行できるといった優遇措置を充実させ、現在米国において自家用EVの販売台数が最も多い州となっています。一方で充電インフラは都市部を中心とした整備にとどまるため、EVの利用は近距離の移動に限定されているのが現状です。

このような背景のもと、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日産自動車株式会社、兼松株式会社は、2015年から米カリフォルニア州で、急速充電網の整備とリアルタイム情報サービスの提供を通じて、EVの利用頻度向上と行動範囲拡大を目指す実証事業※3に取り組んでいます。本実証事業では、海沿いのモントレーから山間部のレイクタホまでの約530キロメートルの26カ所に出力50kWのEV用急速充電器55基および高出力の100kWのEV用超高速充電器2基を設置し、EVの運転・充電行動の分析を進めてきました。そしてソフト面でも2016年11月からEVドライバー向けに提供しているスマートフォン用リアルタイム情報アプリ「DRIVEtheARC※4」を導入しており、このたびNEDOと兼松(株)は、さらにEV専用のスマートフォン向けナビゲーションアプリ「EV Co-Driver※5」の本格提供を開始しました。

今般のアプリ機能の導入・強化を通じ、従来から取り組んでいる急速充電器の設置などによるEV行動範囲拡大の有効性の検証やさまざまなEV行動データの収集・分析の精度向上を目指します。具体的には、電池容量が異なるEVの運転や充電行動の多面的な分析のほか、充電器の予約から利用までのEVドライバーの行動分析も行い、EVの利用距離延伸の可能性評価に取り組みます。これらの取り組みを通じ、EVドライバーの利便性向上や利用者が増加している都市部の充電ステーションでの充電時の混雑緩和を目指すとともに、EVをより快適に、長距離にわたって利用できる環境整備の可能性を探ります。



2.EVドライバー専用ナビゲーションスマートフォンアプリ「EV Co-Driver」の概要

これまでEVドライバーの遠出や不案内な場所への運転にあたり、電欠リスクを避け、目的地まで安全に走行するためには、ナビルートや充電器稼働状況などを各アプリで検索し、事前に走行計画を立てる必要がありました。こうしたEVドライバーの抱える煩わしさを解消すべく、「EV Co-Driver」では、充電ステーションの位置や充電器の仕様・台数・稼働状態を表示し、ユーザーが目的地とバッテリー残量を入力するだけで、運転ルートや時間だけでなく充電ステーションでの待ち時間や充電時間も踏まえた最短ルートを表示します。

また、出発後も経路変更やステーションの混雑状況に応じて電欠を避け最短ルートをリアルタイムで再検索し、ターンバイターンでナビゲーションする機能も備えており、これにより、EVドライバーの電欠に対する心理的不安を軽減します。このようにEVドライバーのニーズに特化した包括的な機能を備えたナビゲーションアプリは世界初であり、これによりEVの行動範囲拡大やさらなるEV普及の促進につなげて行きます。

【注釈】
※1 API:Application Programming Interface の略です。プログラムやソフトウェアの機能を共有する仕組み。APIをインターネット上で公開することで、国内外の事業者にサービスを提供することが可能です。
※2 ターンバイターンナビゲーション機能:目的地へ向かう為に進むべきルートや方向を映像や音声によって逐次表示する機能です。
※3 実証事業:
事 業 名:エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業/米国加州北部都市圏におけるEV行動範囲拡大実証事業 事業期間:2015年度~2020年度 
ホームページ https://drivethearc.com
米国カリフォルニア州でのEV実証事業にチャデモ式超高速充電器を導入(2019年4月3日ニュースリリース)
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101091.html

スマートコミュニティ事業の紹介 「米国加州北部都市圏におけるEV行動範囲拡大実証事業」"DRIVEtheARC"(2018年6月12日NEDO Channel)https://www.youtube.com/watch?v=kEPdEhBKAXM

※4 DRIVEtheARC ホームページ https://drivethearc.com
※5 EV Co-Driver ホームページ https://evcodriver.com



3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO スマートコミュニティ部 担当:藤田、熊谷、遠藤、植田 TEL:044-520-5274
兼松(株) 広報・IR室 TEL:03-5440-8000

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:坂本、鈴木(美) TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp