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1月4日、オンラインで行なわれました、当社社長 宮部佳也による兼松グループ全社員向けの「2024年 年頭挨拶」を下記のとおりお知らせします。
 

兼松ならびに兼松グループの皆さん、おはようございます。

久しぶりに行動制限のない年末年始となり、有意義に過ごされたことと思います。

今年は元日に能登半島地震がおこり、また翌日には羽田空港で航空機衝突という大きな事故がありました。あらためて災害は突然襲ってくるものであり危機管理の重要さを再認識した次第です。このたびの災害と事故で被災された皆さまには心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。そして一日も早く復興がなされることを願い、私たちが今、出来ることについて考えていきたいと思います。

2023年の振り返り

さて、始めに昨年の振り返りから話をします。

私が一番印象に残っているのは3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の日本の優勝です。準決勝ではメキシコを逆転サヨナラで破り、決勝では3-2の接戦でアメリカに勝利し優勝いたしました。個々の力を比較すると、アメリカの方が圧倒的に有利でしたが、日本らしいチームワークと戦略で見事に勝利をおさめました。特に大谷選手が決勝戦を前にして語った「今日一日だけは大リーガーへの憧れを捨て、勝つことだけを考えていきましょう」という言葉が心に残っています。

チームワークと戦略、ビジネスでも共通して言えることだと思います。そして勝とうという強い信念がないと絶対に勝つことができないと改めて思いました。

気候面では、記録的な猛暑を経験しました。

夏場の猛暑に加え、11月・12月でも夏日を記録するなど、異例尽くしの1年でした。 今年も猛暑になるとの見解があり、今後益々、当社が掲げている、カーボンニュートラル、カーボンネガティブの動きが加速するものと思われます。

経済面では、日経平均株価が6月に33年振りに3万3千円を超え、現時点でも堅調に推移しています。一方、為替は1月には1ドル=130円前後だったものが、11月には150円を突破するなど、円安に振れた1年でした。今年は、米国の利下げ、日銀のマイナス金利解除の可能性があり、円高傾向になると言われています。為替は当社のビジネスに影響する要素の一つです。動向は常に注視していきたいと考えます。

社内においては、昨年12月1日に公式ホームページをリニューアルし、サステナビリティ関連の情報開示やグループの事業紹介ページをより一層充実させました。

引き続きホームページやメディアなどを通じて能動的に情報発信を行い、社員の皆さんを含めたステークホルダーに兼松をより一層深く知っていただき「兼松ファン」を増やしていきたいと思います。

DXの動きに関しましては、12月11日には、DAISY(デイジィ)システムがスタートしました。これにより、紙依存の業務から脱却し、計上業務が全てデジタル化されました。 DAISYにはAI技術が搭載されており、請求書やインボイスなどの会計証憑をAIが読み取り、データ化することができます。 すでに皆さんもご利用されているかと思いますが、計上業務プロセスの完全デジタル化という意義深いものであり、デジタル商社として、会計分野DXの第一歩を踏み出したと言えます。

FESTA同様にグループへの展開を図ることで、会計分野におけるDXの礎(いしずえ)にしていくことが次の目標となります。

以上が振り返りですが、次に新しい人事制度と次期中期経営計画についてお話します。

人事制度について

新人事制度を来年4月に導入することが正式に決まりました。新しい制度は次期中計と同時にスタートすることとなります。コンセプトは「戦略的なチャレンジ創出」です。

当社独自の成長を目指すにあたって、他社と違う道を進む必要があります。そこには当然、失敗がつきものであろうし、試行錯誤の連続になりますが、失敗を恐れず、チャレンジする企業文化を育んでいくことが必要であり、チャレンジすることが、当社独自の成長への挑戦、イノベーションの創出に繋がります。

既存事業の拡大と新しいチャレンジは、どちらも成長に不可欠であり、そのためには人的資本、人材こそが源泉ととらえています。多様な個性を持った当社の人材一人ひとりがそれぞれの役割を認識し、その役割に応じた力を発揮することが重要であり、そのためには各自が自律した人材になる必要があります。

新人事制度では、そのようなチャレンジする企業文化をつくるため、チャレンジを評価する仕組みを整え、その貢献を報酬にしっかり反映する制度といたしました。

また、管理職層に対する360°フィードバックシステムなど新たな仕組みも導入しております。

制度は導入して終わりではないので、課題が見つかればその都度修正を検討していきます。皆で協力しながら新しい人事制度を適切に運用し、自身の成長と会社の成長に繋げていただきたいと思います。

企業理念浸透プロジェクトについて

先ほど申し上げたチャレンジする企業文化と関連しますが、4月より企業理念浸透プロジェクトを始動させます。

これは兼松の企業理念を社員の皆さまにより一層深く知ってもらい、常に進化することを楽しむ個人・組織・風土の企業となることを目的とした部門横断のプロジェクトとなります。

既にプロジェクトの本格始動に向けてPTメンバーを中心に準備が始まっており、今後プロジェクトの活動を継続的に情報発信していく予定です。

皆さんがプロジェクトに興味を持ち、行動していただくことが、このプロジェクトにおける最も重要なKey Success Factorになりますので、ぜひ積極的に参画してください。

future135および兼松本社オフィスの受賞について

中期経営計画ですが、現行の中期ビジョンfuture135は残り3カ月となりました。

future135では、投資を活用して成長スピードの加速化を図り、「規模の拡大」、「付加価値の獲得」、「質の向上」をコンセプトとしてこれまで推進してきました。その結果、この6年間の事業投資件数は以前よりも大きく増えました。いくつかの案件については既に連結収益の増加に貢献しておりますし、将来の事業創造に向けたイノベーション投資も数件実行しております。

経営者育成研修や兼松ユニバーシティによる人材への投資、およびESの向上にも取り組んでいます。その一環として、本社移転を行い、多様な働き方を実現する環境づくりを進めています。

このオフィスは、昨年9月の日経ニューオフィス賞「経済産業大臣賞」を受賞し、11月には英国のデザインアワード「SBID International Design Awards 2023」にて、2,000㎡以上のオフィスデザイン部門におけるアジアの最優秀賞を受賞いたしました。定量目標に加え、質の向上についても一定の成果を上げることが出来たと思います。

次期中期経営計画について

さて、来期から始まる3ヵ年の次期中期経営計画については、「当社グループの強み」を最大限活かし、質の高い、持続可能な成長を目指すことをコンセプトに掲げております。当社グループの強みとは、

・幅広い事業分野でのトレーディングを行っていること
・デジタルリテラシーが高い会社であること
・気候変動、SDGsへの対応が進んでいること

などが挙げられます。次期中計では幅広い事業分野でトレーディングを行うことで築かれた取引先、顧客との信頼関係、各事業における詳細情報、ノウハウの共有、蓄積をもとにグループを挙げたシナジー創出を追求していきたいと思います。

また、当社グループは兼松エレクトロニクスをはじめとするICT、デジタル知見、ソリューション機能をグループ内に有しております。取引先、顧客と共に事業と人材のデジタル化を推進し、事業分野を超えたデジタル商社として成長を加速化させることを成長戦略の骨子と考えております。兼松エレクトロニクスとの協業を成長戦略の一つの柱として、今期の当期利益の目標235億円を、次期中計の最終年度となる2027年3月期には更に大きく伸ばして新しいステージに達したいと考えております。

そうした目線のもと、次期中計における定量面での利益計画と、定性面の成長戦略骨子について、単体、グループ会社、海外店の皆さまに一次案を策定いただきました。

一次案では各社、各組織が大きな目標に向かって成長戦略を真剣に考えてくださり、大変感謝しています。従来の積み上げ方式による計画策定とは異なり、大きな目標数値を掲げることが出来そうです。これから数値の精査や戦略への落とし込みを行い、年度末には対外公表することを考えています。将来のありたい姿に向けて成長戦略に基づき当社グループ一体となって取り組んでいきたいと思います。

おわりに

今年は、future135の最終年度です。また、4月から次期中期経営計画、新人事制度がスタートし、当社グループにとっては大きな節目の年になります。 まずは、今期の目標を達成し、4月から良いスタートが切れるよう、残り3カ月を頑張って乗り切って参りましょう。

最後になりますが、日本及び世界の兼松グループの皆さん、そして皆さんを支えるご家族のご健康とご活躍を祈念して、年頭の挨拶とさせていただきます。

                                                       以  上