当社社長 宮部佳也による兼松グループ全社員向けの「2025年 年頭挨拶」を下記のとおりお知らせします。
記
兼松ならびに兼松グループの皆さん、新年明けましておめでとうございます。
本年度は長い年末年始の休みでしたが、皆さん、如何過ごされましたでしょうか?
さて、2025年を迎えるにあたり、昨年の振り返りと今年の兼松グループの取組みについてお話したいと思います。
2024年の振り返り
まず、 昨年2024 年の世界の状況ですが、OECD 世界経済成長率で3.2%と予測されていたとおり、底堅さを維持した年となりました。しかしながら、長引くウクライナ戦争・中東情勢など、世界の分断化が加速し、地政学的リスクが益々高まった年でもありました。その様な環境下、日本の株式市場は7月に株価が42,226円の最高値を付け、その後8月に乱高下があったものの概ね堅調に推移したかと思います。
一方、為替は7月に1ドル=161円まで円安が進みましたが、9月には1ドル=139円まで円高となり、足元では再度円安が進み、動きの荒い1年となりました。
今月20日に米国で第二次トランプ政権が発足します。それによりウクライナ、中東など世界情勢に影響をもたらすことに加え、東アジアにおいても、日本を含む韓国・台湾の安全保障環境が複雑化することが予想されます。
同政権が通商政策で掲げる関税の引上げによって様々な貿易摩擦が生じる懸念があり、我々の事業モデル、サプライチェーンも見直しが必要となる可能性があります。 皆さんにおかれましても世界情勢、米国の通商政策は注視いただきたいと思います。
中期経営計画 「integration 1.0」 について
社内では、新しい中期経営計画「integration 1.0」がスタートしました。3年間の中計期間のさらに先、中長期的に当社が目指す姿として「効率的かつ持続可能なサプライチェーンの変革をリードするソリューションプロバイダー」になることを掲げています。その実現のため、「integration1.0」の期間では、当期利益目標350億円の達成を目指しグループ一体経営、提供価値の拡充を重点に取り組み、人的資本の強化を推進していきます。
当社グループの強みであるICTソリューション事業をさらに強化し、様々な事業分野で情報の共有を積極的に行い、当社グループの財産である20,000社のお取引先に、DX、GX、イノベーションなどのソリューションを提供していくことが基本方針です。
その初年度となる昨年の具体的な取組みをいくつか紹介します。
DX関連の取組み
4月に日本初のセキュリティ企業に投資するファンド「日本サイバーセキュリティファンド1号投資事業有限責任組合」をウエルインベストメント・KEL・グローバルセキュリティエキスパートと共同で創設。7月には、新たにセキュリティ企業13社の出資・参画が実現し、日本のサイバーセキュリティ業界の一大勢力となりました。今後、当社グループのビジネス構築に大いに貢献するものと期待しております。
GX関連の取組み
既存の事業やお取引先と一緒にGXやサステナブルな取組みを進めています。
昨年、持続可能な製品の国際的な認証制度の一つである「ISCC PLUS認証」を取得したことで、同認証を用いたバイオ燃料やバイオ原料の取り扱いが可能になりました。また、4月にはデンマークのDanish Crown社と、日本市場においてサステナブルな豚肉製品の販売を促進する基本合意書の締結を発表しております。さらに、地球温暖化の解決へ向けて「水田メタン」発生の抑制と、環境配慮米の普及を目指し、Green Carbon株式会社と連携協定書を締結しました。
7月に、グリーン&アグリテックベンチャー企業のTOWING社と共同で、 高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」の国内・米国での普及を拡大。KG Agri Products, Inc.(KAPI)が保有する米国の大豆実験圃場(ほじょう)で、国外初の試みとして「宙炭(そらたん)」の試験導入を開始しております。また、環境配慮型ラベル「LIMEX Aqua Jet Label」が、 エプソンのカラーラベルプリンターの純正品に採用されました。
9月には、当社の戦略的投資先のひとつであるインドネシアのCimoryグループと、GXの取組みを共同で推進していくための覚書を締結。再生可能エネルギーや省エネルギー、燃料消費削減システムなど、Cimoryグループに最適なソリューションの導入を検討しています。
資本政策関連の取組み
10月に株式の売出しを行いました。
株式売出しは既存の株主に保有いただいている株式を公募によって投資家に販売する取引です。今回、取引金融機関に保有いただいていた当社の株式、規模にして発行済み株式の7.8%相当の株式を国内外の投資家に購入いただきました。
近年、資本市場においては、コーポレートガバナンス・コードの取組みなどから政策保有株式を見直す動きが急速に進んでいます。当社も企業価値向上の重要施策として政策保有株式の縮減に取り組んでおり、昨年6月に政策保有株式の縮減方針を公表しました。
そのような中、取引金融機関と継続的な議論を重ね、保有いただいていた当社の株式を円滑に売却いただく機会を提供しながら、株主構成の能動的な再構築を図ることを目的に株式の売出しを実施致しました。
また、当社が保有する政策保有株式についても、昨年公表した方針に基づいて粛々と縮減を進めています。資産入替によるキャッシュインは成長投資や株主還元などに充てていくことによって資本収益性・効率性の向上を目指して参ります。
人的資本の強化とエンゲージメントを高める活動について
人的資本KPIのひとつとしている従業員エンゲージメントについて、昨年夏に調査を実施しました。全社的な分析を終えて強みや課題を抽出しましたが、今回はさらに部門別・部別に分析を加えています。部門・部でしっかりと話し合いの場をもって、自分たちの組織の強みと課題を認識し、課題に対しては自分たちが主体的に取り組んでいただきたい。その結果、全社的に働く皆さんのエンゲージメントが高まる流れを作りたいと思います。
エンゲージメントを高める活動としては、昨年4月よりカルチャーデザインプロジェクト(TANEMATSU)を行っております。
これまでワークショップを開催し、役員、社員のインタビューを社内ポータルにも掲示しましたが、これから3月にかけて、兼松パーソンのバリュー、ミッションを作成していきます
今後の兼松の指針となる、極めて重要な活動ですので、年代や役職を問わず多くの皆さんの参加をお願いします。
昨年8月に迎えた創業135周年を祝うイベントの一つとして、昨年11月に、10年ぶりとなる兼松グループ大運動会を東京ビックサイトで開催しました。1,700名もの皆さんにご参加いただき、大いに盛り上がりました。 今後、大阪、名古屋、北海道、九州などでも135周年記念のイベントを開催する予定です。
業績について
上期決算は、当期利益151億円となり、前期の123億円から23%増益でした。 この結果を受け、通期の業績見通しについても当期利益250億円を270億円に上方修正しております。今期の残り3カ月は計画達成に向け全力で取り組んで行きましょう。
おわりに
今年は、昨年以上に世界情勢が不透明な年になることが予想されます。そのような環境下でも、持続的な成長を遂げられる体制、組織を兼松グループ一丸となって作っていきます。
そのために皆さんにお願いしたいことは、
一つ目は、積極的に動き回り、常に情報収集を怠らないこと。
目で見て、耳で聞き、多面的に情報を収集し、次に何が起きるか先を読む力を養っていただきたい。当社グループには生きた情報が得られる社内外の幅広いネットワークがあります。是非ご利用いただきたいと思います。
二つ目は、簡単にあきらめないこと。
事業を進めていくと、必ず壁に当たります。そのような時でも、必ず乗り越えるという強い覚悟を持って臨んでいただきたい。
当社グループには皆さんのチャレンジを周囲が応援、サポートする文化があります。一人で悩まずに、先輩や仲間と知恵を出し合えば必ず打開策が見つかると思います。 これらを実践していけば、必ず皆さん一人ひとりの力量が上がります。そして個の力量の向上が、グループ全体の力を押し上げる源泉となります。
中計最終年度である2027年3月期の当期利益目標350億円の達成に向けて、着実に実績を積んでいきましょう。
最後になりますが、世界の兼松グループの皆さん、そして皆さんを支えるご家族にとって、幸せな年になることを祈念して、年頭の挨拶とさせていただきます。
ありがとうございました。
以 上