サプライチェーンマネジメント

持続可能なサプライチェーン構築に向けた取組み方針

当社は創業主意「わが国の福利を増進するの分子を播種栽培す」を基本理念としており、国際社会や経済への発展に寄与していくことを使命とし、国内のみならず広くグローバルにビジネス展開しています。多岐に亘る事業において、安定的で持続可能な調達・供給・物流・サービスの実現は、当社グループにとって重要課題の1つと認識しています。
この課題に対応するため、当社は自らの事業、サプライチェーンおよびその他のビジネス上の関係において生じ得る、人権・環境・社会への負の影響を適切に認識し、それらに対処するためのリスクベースのデューデリジェンスの実施が不可欠であると考えています。こうした考え方は、OECD(経済協力開発機構)が「多国籍企業行動指針」で提唱するリスクベースアプローチとも整合しており、当社は2024年3月に「持続可能なサプライチェーン構築に向けた取組み方針」を策定しました。
サプライヤー、取引先、およびビジネスパートナーなど(以下「サプライヤーなど」といいます)に対して、以下に掲げる当社の考え方を伝え、理解を求め、共に実現を目指してまいります。

  1. 強制労働および児童労働の禁止
    強制労働や児童労働など人権を侵害する労働慣行を禁止します。

  2. 差別、ハラスメントの禁止
    人権を尊重し、人種・肌の色・信条・宗教・国籍・年齢・性別・出身・心身の障がいなどによる差別、あらゆる形のハラスメントを禁止します。

  3. 結社の自由、団体交渉権の尊重
    結社の自由や労働者の団体交渉権など労働基本権を尊重します。

  4. 適切な労働時間の管理と賃金
    従業員の適正な労働時間を管理し、過剰労働を回避するとともに、各国の労働基準などに基づき最低賃金以上を確保します。

  5. 労働環境の整備
    従業員の健康維持・増進を重要な経営課題と考え、健康経営を推進し、安全に働くことができる職場環境の整備に努めます。

  6. 地域社会への影響
    当社グループが事業活動を行う地域社会における人権課題に配慮し、地域社会の持続的な成長・発展に寄与します。

  7. 公正な取引と腐敗防止の徹底
    事業活動を行う国や地域の法令を遵守し、公正な取引および腐敗防止を徹底します。

  8. 地球環境への配慮
    事業活動において、生物多様性・環境汚染・その他環境問題への影響に配慮し、エネルギー・水・その他資源の使用量、および温室効果ガス・廃棄物の排出量の削減に努めます。

  9. 商品・サービスの安全・安心
    取扱製品の安全性を確保するため、関係法令を遵守するとともに、製品安全管理を適切に行います。

  10. 違反事例の是正措置
    本方針に違反する事例が確認された場合には、対象となるサプライヤーなどに是正措置を求めるとともに、必要に応じて、サプライヤーなどへの指導・支援を行います。継続的な指導・支援を行っても、是正が困難と判断された場合には、当該サプライヤーなどとの取引継続の可否を検討します。

  11. 情報開示
    上記に関する情報の適時・適切な開示を行います。

2024年3月26日

兼松グループ サステナブル サプライチェーン ハンドブック

当社グループは、「持続可能なサプライチェーン構築に向けた取組み方針」に基づく考え方、方針、取組みを共有し、サプライヤーなどの皆さまご理解とご協力を賜りながら、共にその推進を図るため、本ハンドブックを作成いたしました。
本ハンドブックが、持続可能なサプライチェーンの実現に向けた取組みを進める一助となれば幸いです。

兼松グループサステナブルサプライチェーンハンドブック

兼松グループサステナブルサプライチェーンハンドブック_Appendix(一般事例集)

兼松集团可持续供应链手册

兼松集团可持续供应链手册Appendix(一般案例集)

サプライチェーンマネジメントの高度化

現在、OECDが公表するデューデリジェンスに関する企業の実務的なプロセスに則り、当社ではサプライチェーンマネジメントの仕組みづくりを進めています。 その中で特に重視しているのが、サプライヤーにおける人権・労働環境・環境負荷などのリスクを適切に把握し、必要な改善につなげていくための運用プロセスの整備です。
こうした取組みは、当社が目指す「持続可能なサプライチェーン」の実現に向けて欠かせないものであり、社内外の協力を得ながら、より良い仕組みへと発展させていくことが重要だと考えています。

本年度の重点取組みとしては、デューデリジェンス・プロセスのうち、フロー図におけるプロセス1~4に対応する取組みを中心に推進しています。以下では、これらのプロセスに基づき、取組み方針の策定やサステナブル サプライチェーン ハンドブックの整備、SAQの実施、およびフォローアップ調査といった具体的な施策について説明します。

プロセス1. サステナブル サプライチェーン ハンドブックの策定とコミュニケーション

当社は2024年3月に「持続可能なサプライチェーン構築に向けた取組み方針」を策定しております。本年度はさらなる取組みとして、「兼松グループ サステナブル サプライチェーン ハンドブック」を作成しました。本ハンドブックは、サプライヤーとのコミュニケーションを目的として、環境・社会に関する方針および求める行動内容を明確に伝達し、その周知・浸透を図るために策定したものです。サプライヤーの皆さまと共に責任ある調達を進めていくための共通の指針として位置づけています。
また、当社の取組み方針に関する理解の浸透を目的とし、購買調達担当者を含む当社の従業員に対し持続可能な調達に関する説明会とサプライチェーン上で発生するESGリスク事例を交えた研修を実施しました。

プロセス2&3. サプライヤー向けアンケート調査(SAQ)の実施

リスク評価および優先領域の特定

当社では、サプライチェーンおよびビジネス上の関係における負の影響を特定・評価するために、サプライヤー向けアンケート調査(SAQ)を実施しています。
アンケート調査の実施に先立ち、社外のESGデータベースを活用して、ESG課題の発生件数が多いセクターと当社グループの事業領域を照合し、ESGリスク事案の発生状況を分類・整理しました。
さらに、セグメント別の収益規模とESGリスク事案の発生件数などを各業界におけるESGリスク要素として考慮したリスク評価マップを作成し、各セグメントのリスク水準を比較・評価しました。
これらの分析の結果、最も優先的に取り組むべき領域として食料セグメントを特定し、同セグメントを対象にアンケート調査を実施することとしました。

サプライヤースクリーニング

食料セグメントにおいてサプライヤーの選定を行うにあたり、「コモディティ別ESGリスク」および「国別リスク」の観点から評価を実施しました。評価には複数の社外データベースを用い、森林破壊、児童労働・強制労働、ガバナンス、環境負荷など、国際的に重要視されるESG課題を対象としています。

(表1:ESGリスク評価に用いた主なデータベース)

データベース リスク評価項目
EUDR(欧州森林破壊防止規則) 森林破壊・減少リスクの高いコモディティ
SBTN(High-Impact Commodity List) 自然環境への影響が大きいコモディティ(HIC)
SBTN(Land Hub Priority Commodities) 土地利用変化を引き起こすリスクの高いコモディティ
米国労働省リスト 児童労働・強制労働のリスクが指摘されるコモディティ
国際金融公社(IFC)GMAP 環境・社会面のリスクスコア
世界銀行 WGI ガバナンス関連指標に基づく国別リスク
当社による国別リスク整理 国別の人権リスク・環境リスク

また、ESGリスク評価に加え、当社事業への影響度の観点も踏まえてサプライヤー選定を実施しています。取引量上位80%のサプライヤーを優先的に対象とし、当社事業への影響度が高いサプライヤーを網羅的に把握するとともに、それ以外のサプライヤーについても、取引の継続性や代替性の低さを踏まえ追加選定を行いました。これにより、ESGリスクと事業重要性の双方を考慮したスクリーニングを実施しています。

SAQの設問

当社では、サプライヤー向けアンケート(SAQ)を策定するにあたり、「持続可能なサプライチェーン構築に向けた取組み方針」を踏まえ、設問体系を構築しました。 SAQは、人権(S)、環境(E)、ガバナンス(G)の各領域に加え、これらに共通する管理体制や方針整備などのテーマを含め、サプライチェーンにおける主要なリスクを把握できるよう設計しています。
また、法令違反や人命に関わる重大事案など、リスクの高い事象の有無を確認できるよう、重要項目を明確に反映しています。

(表2:SAQ構成)

大項目 調査項目
人権(S) 人権マネジメント、児童労働・強制労働(自社・サプライヤー)、差別、労働組合の組成、参加の権利、過重労働・長時間労働、適正な報酬・生活資金の支払い、労働安全衛生、労働災害、地域住民への影響
環境(E) 環境マネジメント、気候変動(GHG削減・省エネ)、生物多様性の保全、汚染防止、資源の有効活用、水資源の保全
ガバナンス(G) 事業継続対策、公正な事業活動、情報セキュリティ、品質管理・利用者の安全と健康
ESG共通 苦情処理メカニズム

SAQ調査概要

スクリーニングにより選定された119社に対して、SAQを送付しました。(表3)。
その結果、88社から回答を得ることができ、回答率は74%となりました。

(表3:SAQ調査概要)

対象国・地域 (アジア・オセアニア・中東)
インド、インドネシア、オーストラリア、オマーン、韓国、タイ、台湾、中国、日本、パキスタン、ベトナム、ミャンマー

(アフリカ・欧州)
イタリア、エジプト、オランダ、ギリシャ、セーシェル、デンマーク、フィンランド、フランス、ポーランド、南アフリカ

(北米・中南米)
アルゼンチン、ウルグアイ、エクアドル、カナダ、グアテマラ、コスタリカ、コロンビア、ジャマイカ、チリ、パナマ、ブラジル、米国、ペルー、メキシコ
対象コモディティ 家禽、木の実、コーヒー、小麦、米、砂糖、ジャガイモ、水産物、大豆、トウモロコシ、畜牛、菜種、乳製品(牛由来)、バナナ、豚、豆類、ヤシ果実/ココナッツ、綿
SAQ送付社数 119社
SAQ回答社数 88社
回答率 74%
調査方法 オンライン(Forms)、あるいはEXCELによるアンケート方式

SAQ調査結果 〜評価基準〜

SAQの回答については、各設問の回答内容を基に一定の評価を行い、サプライヤーごとの取組状況を把握しています。
この評価結果を踏まえ、サプライヤーを4段階で区分しました。このうち、課題のあるサプライヤーについては、要モニタリング対象として追加の確認やフォローアップを実施したします。

SAQ 〜全体評価〜

SAQ調査の結果、食料セグメントのサプライヤーは、全体として基本的な管理体制およびリスク対応が一定水準以上に整備されていることが確認されました。

SAQ 〜個別評価〜

個別のリスク判定の結果、ESGに関する管理体制やリスク対応において取組みが十分ではないと思われる回答をした「課題のあるサプライヤー」が確認されました。 改善が必要な領域が認められることを示すものであり、当社サプライチェーンにおける潜在的なリスクを把握するうえで重要なシグナルとなります。 これら14社については、OECDデューデリジェンス・プロセスにおける「④ 実施状況および結果を追跡調査する」のプロセスに基づき、フォローアップ調査の対象として位置づけました。

(SAQ調査結果 ー 課題のあるサプライヤー回答)

大項目 取組みが十分ではない項目 課題のある
サプライヤーの割合
人権(S) 児童労働(自社) 1%
児童労働・強制労働
(サプライヤー)
11%
労働災害 2%
環境(E) 環境マネジメント 1%

また、このほかにも、重大なリスクが懸念される設問に対し、未回答のサプライヤーが複数確認されました。 未回答は、管理体制の未整備や情報把握の不足を示す可能性があるため、まずは未回答の理由を確認し、必要に応じて追加の情報提供を求めてまいります。 その上で、リスクの程度や改善の必要性を踏まえ、フォローアップ調査の対象として追加するなど、適切な対応を進めていく方針です。

プロセス 4. フォローアップ調査および是正措置・協力

リスクの高い重大事案が懸念される回答をした14社のサプライヤーについては、当社サプライチェーンにおける人権・労働・環境面の潜在的リスクを適切に把握し、必要な改善につなげるため、フォローアップ調査を実施してまいります。

今後の対応方針について

フォローアップ調査の結果については、OECDデューデリジェンス・プロセスの「⑤ 影響にどのように対処したかを伝える」に基づき、今後、当社ウェブサイトにて適切に開示してまいります。 調査を通じて把握したリスクの内容や、当社として講じた対応方針について、透明性をもって情報提供を行うことで、サプライチェーン全体の信頼性向上につなげていく考えです。
また、調査結果に応じて改善が必要と判断される場合には、同ガイダンスの「⑥ 適切な場合、是正措置を行う、または是正に協力する」に則り、サプライヤーとの対話を通じて必要な是正措置の実施を働きかけてまいります。 必要に応じて改善計画の策定支援や進捗確認を行うなど、サプライチェーン全体のリスク低減に向けた取組みを継続していく方針です。

パートナーシップ構築宣言

当社は、サプライチェーンの取引先の皆様や価値創造を図る事業者の皆様との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築するため、「パートナーシップ構築宣言」を表明します。